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あすは二十四節気の大雪。冬支度を急ぐこの時季、「こくば掻(か)き」をするのが子どものころの習わしだった。近くの里山で落ち葉や枯れ枝を集め、かまどや風呂の焚(た)きつけに使う。
「こくば」は松の落ち葉を指す方言だが、耳にしなくなって久しい。先日、久しぶりにその山に行ったら、湿った落ち葉が何層にも積もり、よく手入れされていた昔の面影はなかった。
心も冬枯れになりそうな時、胸にぽっと灯がともる一冊が届いた。『こころの道草』。四季折々の草花のスケッチ集で、高松市内の主婦森田明子さんが自費出版した。13年前から描きためた166点を収めている。
両親の介護に疲れ、近くを流れる春日川の土手にふっと足を向けたのが野草や花と向き合うきっかけだった。時には屋島や峰山にも足を延ばし、出合った草花を色鉛筆で丹念に描いてきた。
精緻な描線と色づかい、一点一点に添えられた詩のような手控えから、深い愛情が伝わってくる。古希を迎え、自分を励まし続けてくれた草花への感謝を込めて本に編んだ。
「華やかな花より、ひそやかな草花が好き。今だって見落とさなければたくさんありますよ」と話す森田さんに触発され、川土手を歩いた。殺風景に見える初冬の野にも、目を凝らすと赤く色づいた実やかれんな花。命の確かな営みに気づかされた。
何かに追い立てられるようで、気忙(きぜわ)しい師走。「忙」は「心を亡くす」と書く。ちょっと立ち止まり、心の道草を楽しむ余裕を持ちたい。(L)c